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用  語  集

★★★        用     語     集        ★★★

 ■ 目     次

    ● 精 神 福 祉 法
   
● DSM-IV
   
● ICD-10
   
● 向 精 神 薬
   
● 不 眠 症
   
● 遷延性うつ病
   
● 「自殺念慮」と「自殺企図」
   
● リストカティング・シンドローム(手首自傷症候群)
   
● うつ病の治療に不可欠な休養
   
● 入 院 治 療
   
● て ん か ん
   
● 強 迫 性 障 害
   
● こころの病気とインフォームド・コンセント
   
● セカンドオピニオン
   
● 産 業 医
   
● 臨床心理士(心理カウンセラー)
   
● 精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)
   
● 保 健 師
   
● 「ストレス」と「ストレッサー」
   
● 抗 重 力 筋
   
● 神 経 伝 達 物 質
   
● セ ロ ト ニ ン
   
● ノルアドレナリン
   
● セロトニン神経
   
● ノルアドレナリン神経
   
● ドーパミン神経
   
● トリプトファン
   
● 「生物学的精神医学」と「精神病理学」




■ 精 神 保 健 福 祉 法

この法律のルーツは、1901年(明治34年)に制定された「精神病者監視法」です。
その後、いく度もの改正を経て1995年(平成7年)、「精神保健福祉法(正式名称は“精神保健及び精神障害者福祉に関する法律”)」が成立しました。
過去の法律では、精神障害者を強制的に入院させて保護・監視するという色合いが濃かったのですが、前身の「精神保健法」は、入院下の患者の人権保護と社会復帰の推進をかかげています。
また現法では、精神障害者の治療だけでなく、生きがいや生活を支え、さらにはすべての人のメンタルヘルス(精神保健)増進をはかることまで言及している点が大きな特徴です。




■ DSM-IV

精神疾患の診断において1つの規範となっているのが、アメリカ精神医学会が作成した「精神疾患の診断・統計マニュアル第4版」(DSM-IV)です。
初版は1952年に発刊され、4版は1994年に刊行されました。
第4版の特徴は、3版を踏まえて精神疾患を原因ではなく、現れている症状によって分類している点です。
各疾患ごとに診断項目を細かくリストアップし、それらに当てはめれば客観的に診断がつくようにできています。
うつ病や躁うつ病、ヒステリー、ノイローゼ、神経症など、今までよく目にしていた病名は採択されていません。

● DSM-IVによる気分障害(うつ病)の分類
うつ病性障害
大うつ病性障害(単ーエピソード)強いうつ状態が現れる
大うつ病性障害(反復性)強いうつ状態が繰り返し現れる
気分変調性障害軽いうつ状態が、2年以上にわたって続いている

双極障害
双極 I 型障害強い躁状態とうつ状態を繰り返す
双極性 II 型障害強いうつ状態と、軽い躁状態が現れる
気分循環性障害軽い躁状態と軽度または中等度のうつ状態を2年以上にわたって繰り返す
DSM-IVでは、うつ病は気分障害の1つに分類されています。気分障害は、うつ病の症状だけが現れるうつ病性障害(うつ病)と、躁症状も示す双極性障害(躁うつ病)に大別されます。

● DSM-IVによるうつ病の診断基準
 《大うつ病性障害(うつ病)》
以下の症状のうち5つ以上が2週間の間に同時に現れ、発症前の状態から変化がみられる。5つ以上のうち少なくとも1つは(1)または(2)である。
 (1)ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分(小児や青年ではイライラした気分もみられる)
 (2)ほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退
 (3)著しい体重減少あるいは体重増加、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加(小児の場合、期待
    される体重増加がみられないことも考慮する)
 (4)ほとんど毎日の不眠あるいは睡眠過多
 (5)ほとんど毎日の精神運動抑制(無気力や活動性の低下)または焦燥
 (6)ほとんど毎日の易疲労性(疲れやすい)、気力の減退
 (7)ほとんど毎日無価値感、または過剰あるいは不適切な罪責感(犯罪の責任)
 (8)ほとんど毎日の思考力や集中力の減退、または決断困難
 (9)死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮(自殺について心の中で思いめぐらす
    こと)、自殺企図(自殺を行おうとくわだてること)、または自殺するためのはっきりとした計画
混合性エピソード(躁状態とうつ状態が現れ、重篤(病状がいちじるしく重いこと)な気分障害がみられるケース)の診断基準を満たさない
症状のために、著しい苦痛または社会的、職業的、あるいはそのほかの機能に障害を招いている
乱用薬物や投薬による直接的な作用、または身体疾患によるものではない
愛する者との死別でない

 《気分変調性障害(軽症うつ病)》
抑うつ気分がほとんど1日中みられ、それのない日よりもある日のほうが多く、本人の言葉や他者の観察によって示され、少なくとも2年以上続いている
抑うつの間、以下のうち2つ以上がみられる
 (1)食欲減退または過食
 (2)不眠または過眠
 (3)気力の低下または疲労
 (4)自尊心の低下
 (5)集中力低下または決断困難
 (6)絶望感
症状の現れている2年の間(小児や青年は1年間)、2ヶ月以上の期間、AおよびBの症状がなかったことはない
最初の2年間(小児や青年は1年間)、大うつ病エピソードの症状がみられたことはない
躁病エピソード、混合性エピソード、あるいは軽躁病エピソードがあったことはなく、また気分循環性障害の診断基準を満たしたこともない
精神分裂病や妄想性障害のような慢性の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない
乱用薬物や投薬による直接的な作用や身体疾患によるものではない
症状のために、著しい苦痛または社会的、職業的、あるいはそのほかの機能に障害を招いている
表に示したすべての項目にあてはまると、うつ病(大うつ病性障害)あるいは軽症うつ病(気分変調性障害)と診断されます。


 ● 軽症うつ病の特徴
  軽症うつ病は、こころが「健康」と「病気」の境界にあるような状態で、なかなか自覚
  しづらいものです。
  しかし、注意深く観察すると、必ずうつ病のシグナルが見つかります。
  一過性のものと明らかに違う軽度の抑うつ気分が、1年も2年も慢性的に続きます。
  自信の喪失や集中力の低下を招き、不眠や食欲不振などが慢性化します。
  自分にとっては、それが「普通」の状態に思えてくる点も、なかなか治療を開始でき
  ない一因となります。
  睡眠障害などの身体症状をともなうケースがほとんどで、精神症状より身体症状の
  ほうが前面に出ていることも少なくありません。
  軽症で気力が残っているだけに、自殺には十分な注意が必要です。





■ ICD-10


「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類です。
最新の分類は、ICDの第10回目の修正版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10と呼ばれています。
我が国では、ICD-10に準拠した「疾病、傷害及び死因分類」を作成し、統計法に基づく統計調査に使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録の管理等に活用されています。





■ 向 精 神 薬

こころの病気の薬物療法では、おもに「向精神薬(こうせいしんやく)」を使います。
向精神薬は、脳の神経系に作用してこころの働き(精神機能)に影響をおよぼす薬で、こころのトラブルや精神疾患を改善させる目的で用いられます。
向精神薬には、改善する精神症状の違いによって、抗精神病薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬などの種類があります。
うつ病の治療に使用する抗うつ薬も、向精神薬の1つです。
精神治療薬としての向精神薬が、からだやこころに障害を残すことはなく、通常の容量で依存や中毒におちいる心配もありません。

● 向精神薬の薬
分  類
特          徴
抗精神病薬
幻覚や妄想、錯乱を抑え、興奮状態や不安感を鎮める効果もみられ、おもに精神分裂病や躁うつ病の躁状態の治療に使用します。以前は「強力精神安定剤(メジャートランキライザー)」ともよばれていました。
抗うつ薬
抑うつ気分を緩和するほか、不安やあせり、思考力・活動性の低下、不眠や食欲不振といった、うつ病によるさまざまな症状を改善します。神経症や摂食障害の治療に用いることもあります。
気分安定薬
躁状態で高揚した気分を鎮める働きから、抗躁薬ともよばれます。気分の変動を抑えて安定した状態に保つほか、うつ病の再発を防ぐ効果もみられます。
抗不安薬
「緩和精神安定剤(マイナートランキライザー)」ともよばれ、不安やあせり、緊張をやわらげるほか、眠りを誘う効果もみられます。おもに神経症の治療に使用します。
睡眠薬
寝つきをよくしたり、睡眠を持続させる働きがあり、不眠症状を改善する効果がみられます。
精神刺激薬
こころの働き(精神機能)や活動性を高める作用がみられ、「中枢刺激薬」ともよばれます。
抗てんかん薬
けいれんなどのてんかん発作を抑える作用をもち、通常は向精神薬に含めませんが、気分の変動を鎮める効果がみられるため、気分安定薬として使用することがあります。
向精神薬のうち、精神治療薬は、そのおもな効果から7種類に大別されます。うつ病の治療では、抗うつ薬以外の向精神薬を使用することもあります。





■ 不  眠  症

睡眠障害は、多くのこころの病気にともなう症状です。
なかでも不眠はとくに顕著で、うつ病では必ずといっていいほど現れます。
ひと口に不眠といっても、「寝つきがよくない」「眠りが浅い」「夢ばかり見て熟睡できない」「朝早く目が覚めてしまう」など、いろいろなパターンがあります。
「今夜もまた眠れないのではないか」という不安によって、いっそう眠れなくなることも少なくありません。
うつ病による不眠は、「いったん寝ついてもすぐに目が覚める」「ゆっくりと休めず、朝暗いうちに起きてしまう」といった特徴がみられる点で、単なる不眠症とは大きく異なります。




■ 遷 延 性 う つ 病 (せんえんせいうつびょう)

現在では薬物療法をはじめ、有効な治療法があるので、より短期間で苦痛を軽減し、大半のうつ病を回復させることができます。
性格や生活環境、薬の効き方、うつ病のタイプといったさまざまな理由から、治療を行っても長引いてしまうケースを「遷延性うつ病(せんえんせいうつびょう)」とよんでいます。
しかし、たとえ時間がかかってもうつ病は回復します。
そのためには主治医を信頼して、きちんと治療を続けることが何より大切です。




■ 「 自 殺 念 慮 」 と 「 自 殺 企 図 」

「死んでしまいたい」と強く自殺を望む思いを、「自殺念慮(じさつねんりょ)」または「希死念慮(きしねんりょ)」といいます。
うつ病の場合、「自分はだめだ」と責める「自責念慮」などとともに、自殺念慮は特徴的な症状の1つです。
「自殺企図(じさつきと)」というのは、実際に自殺をくわだててしまうケースをさします。
よく、自殺未遂こそが自殺のもっとも大きな危険因子だといわれます。
つまり、自殺が未遂に終わった人は、自殺企図を繰り返す傾向があるのです。

● 自殺の危険因子
自殺企図歴
以前に自殺をしようと試みたことがある人は、今後も自殺をはかる可能性が高いとされています。自殺未遂者の10人に1人は、最終的に自殺で亡くなっているといわれます。
精神疾患の既往
自殺した人は生前、うつ病、アルコール依存症、精神分裂病など、何らかの精神疾患にかかっていたケースもみられます。
援助者の欠如
周囲から精神的なサポートが得られない状況にある人は、自殺の危険性が高くなります。とくに未婚者、離婚者、配偶者や近親者と死別した人は要注意とされてます。
性別
一般に、自殺して亡くなった自殺既遂者は女性よりも男性に多く、自殺未遂者は男性よりも女性に多いといわれています。
年齢
年齢が高くなるほど、自殺で亡くなる人の割合も多くなっています。中高年の自殺がクローズアップされていますが、実際には高齢者の自殺も少なくないのです。
喪失体験
近親者の死、病気や外傷、社会的地位の失墜、経済的な損失など、大切なものを失う体験は大きな精神的ダメージとなり、自殺につながりやすいとされています。
自殺の家族歴
近親者や親しい知人に自殺で亡くなった人がいる場合、自殺をはかる可能性が高くなるといわれています。
事故傾性
事故を防ぐための措置をとらない、慢性疾患の治療を受けずに放置する、性的な問題行動を繰り返すなど、衝動的、反社会的傾向のある人は自殺する危険が高いといわれます。
上記の危険因子を多くもつ人ほど、自殺をはかるおそれが高いと考えられています。自殺防止のためには、危険因子を1つでも減らすことが必要です。





■ リストカッティング・シンドローム(手首自傷症候群)

死ぬつもりはないのに、カッターナイフなどで自分の手首を傷つける行為で、若い女性に目立ちます。
背景の1つに「見捨てられ不安」があるようです。
自分の存在をきちんと認めてほしい、自分が抱えている悩みに気づいてもらいたい・・・。
そんな思いが、屈折したかたちで表現されたものと考えられます。
養育者、とくに母親から心理的に自立していないことが、大きな問題といえるでしょう。
最近は、スリルを楽しむ「遊び」として、リストカットをする若い女性が少なくないようです。




■ う つ 病 の 治 療 に 不 可 欠 な 休 養


うつ病の柱は薬物療法ですが、ただ抗うつ薬を服用するだけでは、十分な改善をはかることはできできませんし、仕事を続けながらでは、服用できる薬の種類や量に限界があります。
医師による適切な精神的サポート(支持療法)、家族や周囲の人たちの理解と協力、そして患者本人が「自分は病気なのだ」と自覚して休養をとることも、回復の重要な要素なのです。
治療期間中は、できる限りゆったりとした気持ちで過ごしてください。
疲れたからだと同様、疲れたこころにも休養が必要です。
うつ病の多くは精神的ストレスが大きな誘因となっていますので、まず、そのストレス要因から離れることが肝心です。
社会的な立場によっても異なりますが、仕事にきっかけがあるなら、しばらくの休職が不可欠でしょう。
必要に応じて、主治医は診断書を用意してくれます。
自分で休養を申し出ることがためらわれるのなら、会社の産業医から伝えてもらうとよいでしょう。
休養には、うつ病のために枯渇(こかつ)してしまったこころのエネルギーを充電する意義があるのです。
同時に、休職や休学などによって、十分な量の薬を服用することも可能になります。
休養の際には、十分な睡眠、そして栄養バランスのよい食事を心がけてください。
抗うつ薬を服用していると、程度の差こそあれ、何らかの副作用が現れてきます。
たとえば、眠気を覚えたら無理せず眠り、おなかがすいたら我慢をしないで消化のよいものを食べるなど、からだの欲求に従うようにしましよう。
休養といっても、とくに安静を保つ必要はありません。
動くのがおっくうなら、1日中横になっていてもかまいませんが、何もしないとかえって考え込んでしまいがちなので、むしろウォーキングや水泳などで軽く汗を流すとよいでしょう。
ただし、心身をリラックスさせることが目的ですから、得点を競い合う激しいスポーツや、集中力を要する読書などは避けてください。
日頃からさほど親しくない人と話すことは、エネルギーがいるものです。
対人関係が重荷になるようなら、結婚式など、親類や知人の集まる場へ無理に参加することはありません。
ただ、職場の上司や同僚など、休職に際してお世話になった人たちには、誰か1人に決めて、時々、近況報告をしておくとよいかもしれません。
休養が明けても、しばらくはのんびりと過ごし、ゆっくりと通常のペースに戻していきましょう。

 ● 「 消 極 的 休 養 」 と 「 積 極 的 休 養 」


  「よく眠る」「ごろごろする」など、とくに何もせず、のんびりした時間を過ごすことを
  「消極的休養」とよんでいます。
  からだの疲れを取り除くためには適しているといえますが、精神的な疲労はこれだ
  けで解消されません。
  からだを動かしたり、趣味に取り組んで活動的な時間を過ごす休養のとり方を「積極
  的休養」とよび、心身のリフレッシュに効果的です。




■ 入 院 治 療

うつ病の大半は、通院による外来治療を行います。
しかし、なかには入院治療が必要とされる場合があります。
たとえば高齢の患者で、食欲不振が続いて身体的な衰弱が著しく、通院治療が困難なケースや、重症のうつ病で焦燥感(しょうしょうかん)、妄想などが強く現れ、家族が看護しきれないケース、あるいは自殺の危険性がきわめて高いと判断されたときなどです。
うつ病自体は軽いものであっても、家族関係にトラブルが生じていて病気への理解や協力が得られない、子どもが幼少で手がかかる、自営業者で人手が足りない・・・など、種々の事情によって自宅では精神的に十分な休養がとれないとき、入院をすすめるケースもみられます。
入院治療の長所は、誘因となっているストレスからきちんと切り離される点にあります。
入院期間は、病気の程度や家族事情などによって異なりますが、1~3ヶ月ほどを要することが多いようです。
何より医師が患者の状態を毎日つぶさに観察し、十分な時間をかけて話し合うことで、精神的なサポートを徹底できます。
基本的に、入院の決定は本人の意思にゆだねられますが、専門家である医師の意見は尊重したほうがよいでしょう。
また、自殺の危険性が非常に高いときには、家族の同意による医療保護入院の措置がとられることもあります。




■ て ん か ん

脳の一部から異常な刺激が発生し、けいれん(ひきつけ)などの発作が起きます。
いちばん大きな発作は、「けいれん」です。
ほかに、「一瞬だけ意識を失う」「急にボーッとする」「急に変な行動を始める」などがあります。
ほとんどは、遺伝には関係ありません。
薬を飲まなくても、自然に治るケースもあります。
症状に合った薬を服用すれば、発作を防いだり、進行を止めることができます。
この場合、医師の指示を守り、長期にわたって薬を服用することになります。
経過によっては、薬の服用をやめられる場合もあります。
ただ、勝手に薬の服用を中断すると重い発作を招くことがあるので、必ず医師の指示を守ってください。
発症は5歳ごろと思春期がピークとなります。
5歳くらいの子供の場合、疲れるまで遊んだときや、発熱によるストレスがあるときなどに、発作が出やすくなります。
思春期ではホルモンの影響や、生活リズムの乱れなどが関係しています。
薬でコントロールがむずかしかった子供でも、生活リズムを整えると発作がおさまることがあります。




■ 強 迫 性 障 害

不快な考えが頭に何度も浮かぶため、その不安を振り払う目的から同じ行動をくり返してしまう病気です。
手を何度も洗わずにはいられないとか、戸締まりを何度も確認しなくては気がすまないなど、誰でもたまには経験する行動なのですが、それが習慣的かつ非常にエスカレートして生活に支障をきたすほどの状態が強迫性障害です。
そして、患者自身が自分の不快な考えについて「こだわりすぎだ」と判断できるにも関わらず、こだわらずにいられないことが特徴です。




■ こころの病気とインフォームド・コンセント

インフォームド・コンセントとは、治療を受ける側の「十分な説明を受ける権利」と「説明にもとづく同意」をさす言葉です。
どんな病気、治療、投薬であれ、医師をはじめ治療にたずさわる人には、真摯(しんし)な態度で、過不足のない正確な説明を、適切なタイミングで行うことが求められます。
そして患者がそれを十分に理解、同意し、自分の治療に積極的にかかわることがとても重要なのです。
こころの病気の領域で、インフォームド・コンセントはいっそう大切になります。
医師と患者の間に築かれた信頼関係なくして、こころの病気の治療はありえません。




■ セカンドオピニオン

「セカンドオピニオン」とは、患者を診断した主治医以外の専門医に、その診断・治療について意見を聞くことをいいます。
がん、心疾患、脳卒中などの治療で広く行われるようになってきました。
もちろん、精神科領域でもしっかり行われる必要があります。
これが患者のよりよい治療に結びつくからです。
それにもかかわらず、セカンドオピニオンを口にすると「それならもう来なくてけっこう」などという医師のいるようなところは、自分たちの診療にまったく自信をもっていない証拠で、医療ミスや誤診に結びつかねないことを十分に覚えておいてください。




■ 産  業  医

「健康管理室(健康管理センター)」などを設けて、従業員の健康管理にあたっている職場は少なくないと思います。
そのような場で顧問的に活動する医師を「産業医」とよんでいます。
からだの不調に対しては内科産業医が、こころの変調に対しては精神科産業医が相談を受けています。
中高年の軽症うつ病は増加し、職場のメンタルヘルスケア(こころの健康対策)が重要な課題となっています。
精神科産業医は、本人や上司からの相談を受けて対応策を検討し、アドバイスを行います。
職場内で対処できない問題については、外部の医療機関に依頼して、より専門的なケアを促します。
プライバシーは十分守られますから、積極的に利用しましょう。




■ 臨床心理士(心理カウンセラー)

大学や大学院で臨床心理学を学び、カウンセラーとしてのトレーニングを受け、(財)日本臨床心理士資格認定協会から資格を与えられた人を、臨床心理士といいます。
保健所や児童相談所、企業や学校の健康相談室、病院などでカウンセリングにあたりますが、個人で開業している人も多くみられます。
臨床心理士は、精神的トラブルを「治療が必要な病気」とみるのではなく、こころが成長・発達過程にあるために起こっているととらえて、臨床心理学にもとづく技法(対話)を通じて、患者の精神的自立を援助していきます。
こころの専門家として、カウンセラーが精神科医や心療内科医と連携しているケースもあります。




■ 精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)

精神医療の現場で活動しているのは、精神科医や臨床心理士ばかりではありません。
精神疾患やこころのトラブルを抱えた人の相談にのったり、社会復帰を支援するソーシャルワーカー(社会福祉事業にたずさわる人)が精神保健福祉士です。
1997年(平成9年)に制定された精神保健福祉士法にもとづく国家資格で、精神科、保健所や精神保健福祉センター、矯正施設などが活動の場となります。
その仕事は「患者と家族へのサポート」で、社会復帰にかかわるさまざまな相談、助言、指導、リハビリテーションなど、内容は多岐にわたります。




■ 保  健  師

保健所は、さまざまな地域保健サービスを行っています。
その活動を中心となって支えているのが保健師です。 保健師は、保健所や精神福祉センターなどに常駐している看護師で、地域住民の健康にかかわるさまざまな相談に応じ、健康診断や健康教育、訪問看護にあたります。
こころの問題に対しても電話相談や来所相談を通じてアドバイスを行い、必要に応じて医療機関を紹介してくれます。




■ 「 ス ト レ ス 」 と 「 ス ト レ ッ サ ー 」

「心身への負担」といった意味合いで日常的に用いられている「ストレス」という言葉は、もともと物体のひずみをさす物理学用語でした。
それが「刺激に対して心身が示すゆがみや変調」をさす医学用語として使用されるようになったのです。
ストレスを招く要因は「ストレッサー」とよばれます。
私たちは日々、暑さや寒さ、騒音といった物理的刺激、ビタミン不足や薬物による化学的刺激、細菌感染をはじめとする生物的刺激、不安や緊張などの精神的刺激にさらされています。
それらがストレッサーとなれば心身はストレス状態におちいり、自律神経の失調などを引き起こすのです。




■ 抗 重 力 筋

人間は地球上で生活する以上、常に重力の影響を受けます。
この重力に対して姿勢を保持するために直接、運動に関与していなくても、緊張を余儀なくされる筋肉があります。
この筋肉のことを「抗重力筋」といいます。
抗重力筋の一部の衰えや発達、過度の疲労といったバランスの崩れは、腰痛や肩こり、けがや障害を引き起こしたり、運動能力や技術の伸び悩みや低下を招きます。




■ 神 経 伝 達 物 質

うつ病の原因として、かつてはおもに性格やストレスとのかかわりが指摘されていました。
しかし1960年代以降、「脳内の神経伝達物質の働きの低下」という生物学的要因が明らかになってきました。
私たちの思考や感覚は、脳の神経細胞(ニューロン)の働きによって生まれます。
ニューロンの数は、大脳皮質と小脳を合わせて約1150億個。
それらが、とてつもなく緻密(ちみつ)な情報伝達網をつくりあげています。
たとえば、指先にトゲがふれたとき、その刺激が信号に変換されていくつもの神経細胞を瞬時に伝い、大脳皮質の「痛みの中枢(ちゅうすう)」に達して「痛っ!」と感じるのです。
ニューロンどうしの経路は、直接つながっているわけではありません。
各ニューロンは、約2000万分の1mmのすき間をはさんだシナプスと呼ばれる連結部を介して、信号のやりとりを行っています。
その伝達を担っているものが、「神経伝達物質」です。
すき間(シナプス間隙(かんげき))に放出された神経伝達物質が、次のニューロンの受容体へ刺激を与え、信号は次々とニューロンを駆け抜けていくのです。
神経伝達物質として重要な役割りをもっているのが、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などの化学物質です。
これらは、モノアミンと総称されています。
とくにセロトニンとノルアドレナリンは、睡眠、食欲、感情などに大きく影響していることが解明されています。
人間の思考や感情は、ニューロン間での情報伝達がスムーズに行われることによってコントロールされているのです。
モノアミンが不足していると、情報伝達がうまくいかなくなって、こころの変調を招く…。
これがうつ病の「モノアミン欠乏仮説」です。
高血圧の治療薬であるレセルピンには、モノアミンを減少させる作用があり、この薬を服用すると15~20%の人に副作用としてうつ状態がみられます。
このことは、モノアミン欠乏仮説の根拠となっています。
とくに内因性うつ病は、放出されたセロトニンやノルアドレナリンなどが不足しているために、これを受け取る受容体の感度が高まりすぎて起こると考えられています。




■ セ ロ ト ニ ン

脳内の神経伝達物質のひとつで、必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝過程で生成されるものです。
ほかの神経伝達物質であるドーパミン(喜び、快楽)、ノルアドレナリン(恐れ、驚き)などの情報をコントロールし、精神を安定させる作用があります。
セロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくくなるため、快楽から抜け出せずに依存症に陥ったり、うつ病になりやすいなどといった指摘もあります。




■ ノ ル ア ド レ ナ リ ン

神経を興奮させる神経伝達物質です。
不安や恐怖を引き起こしたり、覚醒、集中、記憶、積極性、痛みを感じなくするなどの働きがあります。
ストレスとの関係も深く、敵(ストレッサー)に出会った緊急反応の際に自律神経の末端で分泌され、交感神経を刺激します。
血圧や心拍数を高める作用があります。
ちなみに「ノル」とは「正規化合物」「基本の化合物」を表す言葉です。
ノルアドレナリンの一部が変化したものがアドレナリンです。




■ セ ロ ト ニ ン 神 経

セロトニン神経の数は数万個、脳全体の神経細胞約150億個に比べると、とても少ない数なのですが、脳全体の広い領域に影響を与えています。
神経細胞は、軸索というケーブルを使って遠くの神経に情報を送ります。
セロトニン神経の場合には、1個の神経細胞から数万の軸索に枝分かれし、脳神経系のほとんどの領域と結合しています。
セロトニン神経は、脳全体の雰囲気作りをする役割りを果たしており、具体的には、意識レベルや元気の状態などを現わす働きをしています。
ノルアドレナリン神経は、外部からのストレス刺激と身体内部の変化に反応して興奮し、大脳皮質を強く活性化させて覚醒レベルを上げます。
しかし、セロトニン神経は、ストレス刺激にはまったく反応しません。
身体が危機的状況に陥っても、平然と低い頻度でリズミカルなインパルス(電気信号)を出し続けます。
坐禅などの平常心に、少し似ています。
ただし、光だけには反応するのです。
神経が軸索を介して情報を伝達するときには、インパルスという電気信号を使い、インパルスが軸索の末端に到達すると、神経伝達物質が放出され、次の神経に情報を送ります。
この伝達物質にセロトニンを利用するのが、セロトニン神経です。
セロトニン神経は、他の神経からの刺激がなくても、目覚めている間は、朝起きてから夜寝るまでずっと、1秒間に2~3回の割合で規則的にインパルスを出し続け、セロトニンを放出し続けます。
セロトニン神経は、脳全体に軸索を送っているので、覚醒時にはセロトニンの分泌が脳全体に起こり、脳内のセロトニン濃度が一定のレベルに保たれます。
それが、脳全体を覚醒状態にします。
覚醒すると、セロトニン神経は低頻度で規則的なインパルスを出し続けますが、これは自動車のエンジンがスタートすると低速で規則的な回転が始まるのと同じく、アイドリング状態になるのです。
朝の目覚めとともに、セロトニン神経のインパルスが軽快に発生すれば、寝起きのよい爽快な心身の状態がつくられます。
アイドリング状態は、あくまでも動き出す前の準備状態です。
加速したりブレーキを踏んで減速したりするのは、ノルアドレナリン神経やドーパミン神経が関与します。
セロトニン神経は、心身がスムーズに活動できる準備状態をつくるのです。
アイドリングが十分でないと、寝起きが悪くなり、1日中すっきりしません。
また、セロトニン神経が弱っているので、ちょとしたことにでもすぐ興奮し、キレやすくなります。
すっきりしない気分に興奮しやすい状態が重なり、結局、夜はよく眠れない、朝は起きにくい、という悪循環に陥っていくのです。
外見にもセロトニン神経は影響を与えます。
一般に、覚醒レベルが落ちてくると、姿勢が崩れ、顔つきに締りがなくなります。
これは、抗重力筋の緊張低下によるものといえます。
抗重力筋には、首筋、背骨の周り、下肢の筋群だけでなく、まぶた、顔面の筋肉群も含まれます。
重力の影響下で、起きて活動するためには、抗重力筋を働かせ続けなければなりません。
抗重力筋は、寝ているときは弛緩(しかん)して休んでいます。
目覚めるとともに持続的な収縮を続けて、姿勢や顔つきに締りを与えるのです。
この機能にも、セロトニン神経の持続的な活動がかかわっています。
抗重力筋を直接、興奮させるのは、脊椎の運動神経です。
この運動神経に、セロトニン神経は刺激を与え続けて続けます。
直接、筋を収縮させるのではなく、運動神経の細胞にセロトニンを分泌させて、興奮レベルを上げる作用を発揮します。
これによって、抗重力筋の緊張が高まり、背筋がピンと伸び、顔つきに締りができます。
セロトニン神経が弱ると、外見だけでもそれとわかります。
背中が曲がり、目もとに力がなく、顔に張りがありません。
逆に鍛えられると、禅僧のように、背筋が伸び、顔に締りが出てきます。




■ ノ ル ア ド レ ナ リ ン 神 経

生命を危険に陥れる可能性のある各種のストレス刺激が外部から加わると、ノルアドレナリン神経が興奮します。
寝ている人を起こすとき大声で怒鳴る(聴覚刺激)とか、からだを揺り動かしたり叩いたりして、機械刺激を与える(体性感覚刺激)などの不快なストレス刺激も同じです。
からだの内部の変化にも反応します。
ショックで血圧が下がる、低血糖になる、窒息して酸素欠乏になる、など生命が危険に陥るような変動は、体内の各種のセンサーで監視され、そこから発せられる信号で、ノルアドレナリン神経を興奮させます。
そして、その興奮は、大脳皮質を強く活性化させて、覚醒レベルを上げます。
ホットな覚醒状態をつくり上げるのです。
このように、ノルアドレナリン神経は、脳内における一種の危機管理センターのような重要な役割をになっています。
また、ノルアドレナリン神経は、さまざまなストレスを回避するための行動をとらせたり、自律神経の反応も引き起こします。
血圧を上げ、心臓をドキドキさせて、次の行動に備えます。
そして、勝ち目があれば闘争し、負けそうなら逃走するといった具体的な行動に導くのです。
まさに、生体の危機管理センターの役目を、ノルアドレナリン神経は果たしているのです。
覚醒させる神経という点では、セロトニン神経と共通点がありますが、セロトニン神経は、睡眠から覚醒に移っていくときのアイドリング状態(クールな覚醒)を保ち、ノルアドレナリン神経は、興奮してホットな覚醒にさせます。




■ ド ー パ ミ ン 神 経

ドーパミン神経は、こころや感情に密接に関連する脳領域に伸びています。
性や食など、生存には不可欠な本能行動にかかわっていて、異性を求めるこころ、おいしいものを食べたいと思うこころなどをつくり出します。
そこを刺激すると、性や食にともなう快感や、好ましい感情が誘発されます。
このような特徴から、ドーパミン神経のことを、「意欲」の神経と表現することもあります。
食欲が抑えられず、異常に食べ過ぎてしまう摂食障害なども、ドーパミン神経の暴走といえます。
比較的短い期間で目的をとげられるダイエットと違って、摂食障害の克服は、ドーパミン神経の暴走にストップをかけるセロトニン神経の活性化が必要ですので、100日くらいかかります。




■ ト リ プ ト フ ァ ン

必須アミノ酸のひとつで、体内ではつくることができません。
さまざまな食品のタンパク質に含まれており、摂取して脳に運ばれたトリプトファンは、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムとともに、セロトニンを合成します。
このため、専門的には、トリプトファンはセロトニンの前駆物質と呼ばれます。
アメリカでは、セロトニンをつくることから、天然の精神安定剤、鎮痛剤として栄養補助食品に利用されていますが、大量に食べると必ず副作用がでるので、手を出さないのが賢明です。
バランスのよい食事を心がければ、トリプトファンが不足することはありません。
セロトニン神経活性化にとって、食事は二次的なものです。




■ 「生物学的精神医学」と「精神病理学」

精神医学界内部には、「生物学的精神医学」と「精神病理学」という根の深い対立があります。
この違いを簡単にいえば、ものを考えているのは「脳」か「こころ」かということです。
「生物学的精神医学」は、自然科学の方法論に従って脳科学の方面から精神異常を研究しようというものです。
欠点としては、患者の個別性とか社会性が無視されてしまうところです。
そして「精神病理学」は、精神病はこころの病気だとして、哲学(特にフッサールなどの現象学)をよりどころにして、主観的、直観的な見方や疾患の「全人間的な把握」を重視します。
遺伝など生物学的要素を無視しがちで、観念的で難解な議論に陥りやすいという欠点があります。
この両者の対立は、非常に根深いものがあって、「精神病は脳病である」という、19世紀ドイツの精神医学者グリージンガーの言葉ひとつが、生物学的精神医学では肯定的に引用され、精神病理学では否定的に引用されています。

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